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生成AIが気象の未来を変える?部署横断「経営ビジョン推進プロジェクト」

日本気象協会は、気象データを活用することで安心・安全・快適な社会づくりを目指しています。データ活用、DX推進で欠かせないのがAI活用。特に生成AIを取り巻く社会環境の変化はめざましく、日々進化を続けています。今回の日本気象協会 公式note「Harmonability style」では、部署横断「経営ビジョン推進プロジェクト」で取り組んだ「生成AI活用」について、前編・後編に分けてご紹介します。

「経営ビジョン推進プロジェクト」とは
日本気象協会の中期経営計画にある事業戦略・組織戦略・人材戦略などのテーマの推進を加速するために生まれた部署横断プロジェクト。若手メンバーを中心に3名以上のチームを構成し、課題解決を目指します。公募型と指名型があり、どちらの場合もアドバイザーとしてマネジメント層のメンバーが伴走します。

生成AIを気象ビジネスで活用したい

今回の「経営ビジョン推進プロジェクト」のテーマは「生産性向上・新サービス創出のための生成AI活用」。東京の本社と関西支社の8名の若手メンバーからなるチームで、2023年6月に活動を開始しました。プロジェクトでは、数ある生成AIのなかでもChatGPTやGitHub Copilotに重点を置き、生成AIを活用したアイデアの実験を続けました。
 
生成AIは多くの人が触れるようになってまだ間もないもの。そして、今現在も生成AIを取り巻く社会環境は急速に変化・発展し続けています。ChatGPTが登場したとき、社内では生成AIの脅威について議論が起こりました。「専門的な業務を代行できるツールが生成AIを通じて出現するのではないか?気象予報もそうなるのではないか?」といった議論です。
プロジェクトの発起人である瀬川さんも、生成AIに関するさまざまな記事を読み、当初は危機感を感じました。ただ、実際に生成AIに触ってみると「楽しい」と感じたのだそう。

瀬川:言語生成AIの存在は、雑談とか無駄話が好きな身としては「話し相手ができた」みたいな印象です。しかもめちゃくちゃ賢い話し相手です。もちろん利便性や実用性もすさまじいものがあるのですが、この「楽しさ」は世界を変えそうだなと感じ、危機感や脅威よりもポジティブな気持ちで、本気で取り組むべきだと感じました。

「まずは自分たちで生成AIを触ってみよう!」「恐れるのではなく、味方にしよう」そんな思いから「生産性向上・新サービス創出のための生成AI活用」のプロジェクトが立ち上がりました。

チームメンバーの8名は、社内のさまざまな部署から集まりました。生成AIの活用は特定の部署や仕事に限らず、日本気象協会のビジネスのあらゆるシーンで可能性があると考えたからです。本社・支社の枠組みを超えて、新しい技術にアンテナを張っている入社4~6年目のメンバーが集まりプロジェクトが始まりました。

社内向けに生成AI活用のレクチャーを実施

プロジェクトが始まってからは、まずOpenAI社の大規模言語モデル(LLM)を研究し、どのように使えるかを試しました。また、多くの日本気象協会の職員が生成AIを活用できるように「全社向けレクチャー」を開催したほか、社内に情報共有のスペースを作りました。社内での周知活動と並行して、生成AIを活用できそうな部署にヒアリングも行いました。生成AIによってどのような補助ツールを作るのがよいか、実際に試作しながら検討を進めました。
 
「全社向けレクチャー」は、対面とオンラインのハイブリットで開催しました。レクチャー後の意見交換タイムでは、対面・オンラインともに複数のルームを用意し少人数で気軽に話ができるようにしました。実験的な取り組みでうまくいくかハラハラしましたが、全国から想定を超える参加者が集まり大盛況のうちに終えることができました。

「天気予報の原稿作成」に生成AIを活用したい

プロジェクトを始めてから、社内でも少しずつ生成AIを活用する人が増えてきました。社内での生成AIの利用事例は、今のところプログラミングでの活用が多いようです。
生成AI活用で特に注力しているのは、やはり「天気予報の原稿作成」です。天気予報は毎日発表するもので、創立74年目を迎える日本気象協会には長年蓄積しているデータがあり、生成AIが学習できるデータが揃っています。AIアナウンサーによるニュースを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、気象予報についても近い未来完全自動化される、といったこともあるのではないでしょうか(もちろん人によるチェックは必要ですが…)。

正確な気象データを届けるためのAI活用であることを忘れない

世間でも言われている通り、生成AI利用には課題もあります。たとえば無料で使えるオープンなサービスの場合はセキュリティ面からインプット情報に制限があったり、得られるアウトプット情報も正しい情報とは限りません。効率化できたり生産性が向上することは生成AIの利点ですが、正確さに欠ける気象情報を伝えるわけにはいかないため「気象情報のどのような情報を、どのように届ける場合に生成AIを活用するのか」を検討するところから始める必要があります。あくまでも「正確な気象データを届けるために、生成AIを活用する」ということが重要です。
プロジェクトで生成AIを利用するときは、社内の情報セキュリティ部門のガイドラインに従って、生成AIのインプットに利用しても問題ないデータを選ぶようにしました。

瀬川:これから会社に入ってくる新人の皆さんは、おそらく生成AIネイティブな方たちになると思います。生成AIを当たり前に使いこなしている世代です。もっと言えば、生成AIが使えない会社には入らないという人も出てくるのではと思うので、自分自身含め、置いていかれないようにしたいと思っています。

ひとつずつ、手探りで「日本気象協会における生成AI活用」を試していった本プロジェクト。後編では「経営ビジョン推進プロジェクト」を経験して感じたこと、プロジェクトを踏まえたその後の動きなどをご紹介します。


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