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【プロフェッショナルパートナーの素顔】仕事で出会った恩師のもとで社会人大学院生に挑戦

日本気象協会を支える気象・環境・防災のプロフェッショナルを紹介する「プロフェッショナルパートナーの素顔」。今回は、縁あって社会人を続けながら大学院に進学し、専門分野である「雪氷防災」への学びを深め続けるプロフェッショナルパートナーが語ります。

小松 麻美(こまつ あさみ)
日本気象協会 北海道支社
大阪府出身。2006年に日本気象協会に入社し、主に北海道内の道路管理者向け防災情報開発を担当。専門分野は吹雪、雪崩などの雪氷防災。博士(理学)。日本気象学会、日本雪氷学会に所属。趣味は野球観戦。

大阪で雪に感動していた子ども時代

出身は大阪府です。太平洋側らしく、1年を通じておおむね穏やかな気候ですが、夏期は都市部のヒートアイランド現象で年々蒸し暑さが厳しくなっていると感じます。積雪は数年に1度あるかという感覚です。その分、子どもの頃、数センチ雪が積もった時の喜びは今でも覚えています。
野球観戦が好きで、子どもや友人と球場に観戦に行くこともあります。天気に左右されてしまうのですが、やっぱり屋外球場である甲子園での野球観戦が一番好きです。

小学校の理科の授業で気象のおもしろさに気付く

気象に興味を持ったのは、小学校の理科の授業で天気図を習ったことがきっかけです。それまでよく分からなかった天気図の意味が分かった!という体験から、雲の生成や低気圧の発達など気象現象を説明できる理論があるということにおもしろさを感じました。分かっていない謎を自分も解明したい、と考えたことが、現在の仕事につながっていると思います。

北海道や東北エリアの防災情報提供システムを担当

2006年に新卒で日本気象協会に入社してからは、北海道と東北エリアで主に防災情報提供システムの運用や保守を担当してきました。現在は、行政向けの防災情報提供のチームリーダーとして、業務の進捗管理や営業活動支援を行っています。雪氷防災分野の技術開発や研究機関とのプロジェクトに参画するほか、所属する学会の事務も担うなど、さまざまなことに取り組んでいます。「防災情報は人の命を左右するものである」ということを常に意識しながら仕事をしています。

縁あって社会人を続けながら大学院への進学を決意

防災情報の開発を行うなかで、大学との共同研究に関わるようになりました。そこでのご縁から、働きながら大学院博士課程への進学することを決意しました。この時に、大学院の指導教官で、現在、北海道支社の顧問でもある西村浩一先生と出会えたことは、私の人生のターニングポイントだったと感じています。

大学院に通うと決めたときに、仕事とプライベートの優先順位をかなり厳しく付け直しました。西村先生とペースメーカーとなるような定期的な打ち合わせを実施できたこともあり、博士号取得まで諦めずに研究を続けることができました。西村先生とは現在も定期的に打ち合わせを行っていて、大学院卒業後も引き続きご指導いただいています。

学生時代に苦労して学んだプログラミングが今も生きている

大学での卒業論文と修士論文のテーマは「南極における局地風」でした。博士論文のテーマは「雪崩発生危険度予測システムの構築」で、再び「局地風」の分野の知識を使うことになった時には驚きました。
一貫して「気象学」を学びの軸にしていますが、学生時代に苦労してプログラミングや描画ツールを習得したおかげで、今も自分の手を動かして解析ができています。

解析結果を提供することでお客さんに喜んでいただけたり、研究成果を公表して反響を得られたりした時には、苦労が報われたような感覚があります。
今後は、これまで取り組んできた研究テーマ(積雪変質モデルと吹雪・吹きだまりモデルを用いた、表層雪崩の発生危険度予測)の拡張性や汎用性を増すことや、雪氷・気象分野での新しい研究テーマにも取り組んでいきたいです。定期的に投稿論文を出版することを目標に、研究を進めていこうと思います。

『物理や数学が苦手とか嫌いだとしたら、気象の詩人にはなれるかもしれないが、研究者にはなれない』

日本気象協会で働く仲間の印象は「やっぱり皆、気象が好きなんだなぁ」です。日々の天気や季節の動きに敏感な人が多いと感じています。
これから気象の仕事を目指す皆さんへのメッセージとして…私は、気象について勉強するときに『物理や数学が苦手とか嫌いだとしたら、気象の詩人にはなれるかもしれないが、研究者にはなれない(朝日新聞社「AERA Mook 気象学のみかた。」1996年刊行 より)』という言葉を励みにしてきました。
気象の仕事は多岐にわたるので、必ずしも物理や数学を多用するものばかりではないのですが、やっぱり学生時代にその分野に諦めず取り組むといったことは、気象の仕事をする上でのつまずきを減らしてくれるように思います。

「科学」のおもしろさを伝えていきたい

以前、入社2~3年目の頃に、高校生向けのキャリア授業の講師を務めたことがありました。その時に「知らない」「難しそう」というイメージで理系分野が敬遠されている、という学校教育の現場を知りました。私が仕事や学会などでの活動を通じて出会うことが出来る人の数は限られていますが、「科学」のおもしろさや興味の種を植える地道な活動を、これからも続けていきたいと考えています。

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