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【プロフェッショナルパートナーの素顔】雪国ならではの気象災害の対策を考える

日本気象協会を支える気象・環境・防災のプロフェッショナルを紹介する「プロフェッショナルパートナーの素顔」。今回は「雪氷のプロ」として、冬季の交通気象を専門とするプロフェッショナルパートナーが語ります。

丹治 和博(たんじ かづひろ)
日本気象協会 北海道支社
東京都出身。道路に関わる調査業務や冬期対策(吹雪、雪崩、路面凍結)、冬期の事故調査分析、道路気象情報を専門とする。技術士(総監・建設)、測量士、気象予報士。
趣味は温泉巡り。カヌーにハマっていた時があり、カナディアン2艇、カヤック2艇を所有している。

吹雪や雪崩…雪国ならではの気象災害の対策を考える

普段は北海道や東北地方の気象予測業務の管理や、技術開発を行っています。このほか、道路や鉄道の吹雪対策、雪崩対策の検討、気象以外のデータを用いた災害事例の解析なども担当しています。講演会での登壇や、外部の有識者会議へ委員として参加したり、大学院で講師を務めることもあります。

気象災害から北海道の物流を守る取り組み

北海道は冬に向けて吹雪が多発する季節を迎えます。吹雪をはじめとする気象災害から道内の物流輸送を守り、道民生活を支えていくことを目指して、日本気象協会は産学官と連携した取り組みを行っています。2016年から開催している公開シンポジウムもそのひとつで、今年も11月に開催を予定しています。私もパネリストとして参加します。

暴風雪や大雪が予測される際に外出を控える「出控え」は重要ですが、北海道での生活を支えるためには物流を「出控え」するわけにはいきません。気象災害のリスクがあるなかで、最小限の物流を確保するために道民に何ができるのか、もし物流が滞ったとしても、異常気象に備えて生活できる環境をどう確保するのか、一人一人の工夫と意識が必要だと感じています。

あらゆるデータを組み込んで災害リスクを検証する

先日は、道路防災講演会で「多種多様なデータから気象災害リスクに挑む」と題した講演をする機会をいただきました。
道路に限らず、災害は「素因」に対して「誘因」が作用して発生します。気象は「誘因」の一つでしかなく、「素因」は人だったり、車だったり、社会全体だったりします。気象災害リスクを検証しようと思った時に、気象を分析するだけでは情報が足りないため、「素因」をどう観測・検知し災害リスクの大小を分析するかが重要だと考えています。
講演では、気象といった「誘因」に限らず、社会空間上にあるさまざまな「素因」に関するデータを組み込んで災害リスクを検証する重要性について詳しく説明しました。

講演のなかで、参加者の方から気象×交通データの研究(DOMINGOプロジェクト※)の成果や今後の展開について質問をいただきました。専門の異なる学識者や民間企業が連携し、多種多様なデータを融合解析することで、災害リスクを検知する技術開発は極めて重要です。さまざまな分野での研究開発を紹介するとともに、今後どのようにビジネスに展開していくかが課題であることもお伝えしました。
 
※DOMINGOプロジェクト…東北大学を中心に専門分野の異なる組織が連携し研究を行う産学共同研究体。東日本大震災での避難時の課題を受けて発足した。さまざまなデータを用いて災害時の交通情報をリアルタイムで生成し、減災を支援することを目指している。

高校時代の恩師の言葉を大切に

専門分野のことになるとつい熱く語ってしまいますが、実は人見知りな性格です。日々、多くの方に支えられて仕事していると感じています。日頃仕事をするなかで大切にしている言葉が2つあります。1つめは「明日できることは今日やるな」、2つめは「山より大きな鹿(シシ)は出ない」です。どちらの言葉も高校時代の別々の先生からかけていただいた言葉です。文字面に惑わされずに言葉の意味をじっくり考えると、見事に真理を突いているなぁと思っています。
 
* 記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です

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