北海道の空を見守る私たちが大切にしていること
全国に支社・支店がある日本気象協会では、その土地に詳しい気象予報士がtenki.jpの「気象予報士のポイント解説(日直予報士)」のコーナーで各地の気象情報や地域の話題など、旬のトピックスをお届けしています。「気象予報士のポイント解説」は記事形式の読み物ですが、地域に特化した情報を動画で配信している支社・支店もあります。
今回の日本気象協会 公式note「Harmonability style」では、記事と動画で地域の気象情報の積極的な発信にチャレンジしている日本気象協会 北海道支社の取り組みをご紹介します。
仕事の分担を見直して記事執筆のための時間を生み出す
北海道支社では、以前は担当者の仕事の合間を縫いながら「気象予報士のポイント解説」の記事を執筆する、といった体制を取っていました。しかし天気予報の現場には定刻で決まった仕事があり、隙間時間に記事を執筆する、というのはなかなか難しいのが実情でした。そこで各担当の仕事の分担を見直し、仕事の棚卸しを行いました。その結果、「気象予報士のポイント解説」の記事を執筆する時間を定常的に作ることができるようになりました。執筆を担当する当番メンバーが決まったことで定期的な発信ができるようになり、北海道支社から発信した記事の総ページビュー数(記事の閲覧数)は、定期的な発信ができる前と比べて2倍に増えました。
記事執筆の工夫を、「気象予報士のポイント解説」記事を担当しているメンバーに聞きました。
今井 希依(いまい きえ)
記事で取り上げる内容はその日に決める
天気は日々めまぐるしく変化しているため、記事でどんな内容を取り上げるかはその日に決めることが多いです。北海道の天気が今後荒れる予想になっていれば、その予想と注意喚起を、気温が上がる日であれば観測された記録とともに今後の気温変化など、その日の状況に合わせて内容を決めています。北海道ならではの季節の話題などは、あらかじめ考えておくことも多いです。
北海道にお住まいの方にも、そうでない方にも興味を持ってもらえるように工夫をしている
同じ日本国内でも、北海道だけ天気が違うことは多く、時には季節が全く違う…と感じることもあります(笑)。なので、北海道にお住まいの方に向けた詳しい情報発信はもちろんですが、道外にお住まいの方にも興味を持ってもらえるような内容になるよう、心がけています。特に寒さや雪の話題などは、道民にとっては当たり前でも、本州の方にとっては珍しいことも多いと思うので、できれば写真やイラスト付きで、北海道の天候を紹介するような視点で執筆するよう工夫をしています。
自分も疑問に思った「蝦夷梅雨」を紹介
北海道ならではの季節の話題として、昨年に「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」に関する記事を執筆しました。一般的に「北海道には梅雨がない」といわれていますが、「蝦夷梅雨」という言葉があるように、梅雨に似た天気傾向になる年があります。私自身も昔疑問に思ったことがあるので、きっと知りたい人は多いはず!と思い、記事のテーマとして選びました。
記事を公開した後に、小学校の先生をしている友人から「授業で使うために蝦夷梅雨を調べていたらこの記事が出てきて、勉強になったよ」と直接感想を聞くことがあり、情報発信のやりがいを感じました。
「気象予報士のポイント解説」では、気象予報士ならではの視点と見解で、日々新鮮な情報を発信しています。全国に支社・支店があって、日本全国の”生”の状況をお届けできることが日本気象協会の強みの一つです。北海道支社からも、皆さんに興味を持っていただけるような内容や北海道ならではの情報を日々発信していますので、ぜひ記事をご覧いただけたらと思います。
北海道支社オフィスビルの屋外デジタルサイネージで動画を放映
北海道支社では動画での情報発信にも挑戦しています。この先の天気傾向を解説する動画は北海道支社のFacebookで紹介しているほか、北海道支社オフィスビルの正面玄関横にあるデジタルサイネージでも放映しており、近くのバス停でバスを待つ方や、付近を通る皆さんに楽しんでいただいています。北海道の気候や観光地、イベントなどの紹介動画はtenki.jpの公式Youtubeチャンネルにて公開しています。
日本気象協会 北海道支社Facebook
情報発信時に大切にしていることを、動画を担当している2人のメンバーに聞きました。
小玉 智由実(こだま ちゆみ)
一般の方に近い視点で「知りたい、おもしろい」と感じる情報を伝えたい
動画のなかで伝えたい情報はたくさんありますが、動画をご覧いただいている方が「知りたい!」と思うであろう内容を最優先するように心がけています。私は日本気象協会に入社してからまだ日が浅いのですが、だからこそ一般の方と近い視点を持っていることが強みだと思っています。気象の世界に入るまで詳しく知らなかったけれど、日本気象協会で働き始めたことをきっかけに知った、おもしろいと思った内容を題材にすることが多いです。そうすると、お天気の知識がそこまで深くない方も含め、老若男女問わず多くの皆さんに楽しんでもらえる動画になるのではないかと思っています。その他、意識していることとして、なるべく北海道ならではの話題を扱うようにしています。
北海道のお天気は本州などと傾向が違って、全国的な情報と多少のずれが出てしまうことも珍しくありません。北海道支社の動画では、そういった部分も含めて分かりやすくお伝えできるよう努めています。今まで動画を見たことがなかったという方々も、これを機にぜひFacebookから動画をご覧いただけたら嬉しいです。
谷内 楓子(たにうち ふうこ)
耳で聞いて、目で見て「ポイント」が分かるように意識
この動画で伝えたいポイントはどこか、をはっきりさせることを大切にしています。動画は時間に限りがあるので「今月のポイントは○○」など、パッと耳で聞いて、目で見て分かりやすいように作成するように意識しています。伝えたいことが多くなると情報が重なってしまって、何が大事なのか分からなくなることもあると思います。そうならないためにも、優先順位の高いものから簡潔に伝えることを忘れないようにしています。
ラジオでは近日の天気予報などをお伝えしていますが、動画ではラジオで紹介しきれない部分(1か月予報や用語の解説など)もお伝えしています。天気に関しては勉強中の身ではありますが、なるべく分かりやすく、より身近な情報を発信していこうと思っています。自分が発信する情報が一人でも多くの方に届いて、役立ってもらえたら嬉しいですし、自分も日々よりよい情報発信ができるように、取り組んでいきたいです。
北海道の魅力を伝えるために屋外での撮影にも挑戦していきたい
現在発信している動画はオフィス内の撮影ブースで収録することが多いので、今後は季節の話題を伝えるときなどに、屋外での撮影にももっとチャレンジしていきたいと思っています。今年5月には札幌大通公園で撮影を行い、「札幌の木」であるライラックを紹介したところ、屋外で収録した動画も新鮮でいいですね、と社内外から好評の声をいただきました。今後も可能な範囲でさまざまな場所から、その季節ならではの美しい景色や花木、気象現象などを積極的に発信していきたいと思っています。
台本作成・撮影・編集までひとりの担当者が手がける
北海道支社では動画の台本作成から撮影、編集まで、その回を担当するメンバーがほぼひとりで行います。音で聞くだけではわかりにくい言葉もあるので、すべてに字幕を付けるようにしたり、テーマに合わせた文字の色にする、表示する字幕は読みやすい文字数にするなど、動画をご覧いただく方にとって情報が伝わりやすくなる方法を日々模索しながら試しています。喋り方や手の動きなども色々なパターンを試しながら、研究しています。最近は企業さんから気象現象を解説する動画の制作依頼のお話をいただきました。
北海道に拠点を持つ気象コンサルティング会社だからこそ出来ることを、ひとつひとつ形にして、これからも皆さんに届けていきたいと思います。
今後も日本気象協会の仕事にまつわるさまざまなエピソードをお届けしていきます。社内の皆さんからは、こんな企画を読んでみたい!というリクエストもお待ちしています。今後も日本気象協会 公式note「Harmonability style」をどうぞお楽しみに!