【プロフェッショナルパートナーの素顔】支店の担当者としてお客様の声を直接聞き、本社・支社に届ける
日本気象協会を支える気象・環境・防災のプロフェッショナルを紹介する「プロフェッショナルパートナーの素顔」。今回は本社や支社での勤務を経て、現在は支店でマルチに活躍するプロフェッショナルパートナーが語ります。
小学生のときに阪神・淡路大震災を経験
出身は兵庫県神戸市です。目の前には瀬戸内海、背面に六甲山に囲まれて育ちました。小学生のときに阪神・淡路大震災を経験しました。地元はとても温暖で雪が降ると学校が休校になるような地域でしたが、寒い時期に温かいお風呂に入れることや、夕方暗くなって電気が付けられるといった日常が一瞬で崩れてしまうということをこの震災で経験しました。
テレビや新聞では連日被害状況をセンセーショナルに伝えるばかりで、「どうしてこんなことが起きたの?」といった疑問を持ったのが気象に興味を持ったきっかけです。
当たり前の日常が大きな災害一つで簡単になくなってしまうことが、とても怖かったです。自分で出来ることは少ないかもしれないけれど、誰よりも近い場所で情報を知ることができる立場にいたいと思い、気象に関する仕事を選びました。
大学では農業気象を専攻
大学時代は農学研究科に所属し、農業気象を専攻しました。修士論文は「2005年台風14号を対象とした水害報道の比較分析と山口県における降水再現確率の評価」というテーマで、台風の報道分析と山口県における過去のアメダス観測値をデータベース化し、日降水量について降水特性をまとめました。
農学部らしく風水害による農作物への影響調査や、柑橘の糖度測定、リモート撮影による画像解析など、研究室ではさまざまな経験をすることができました。
お客さまのニーズを理解するために「聞く姿勢」を大切にしている
修士論文の研究では台風の被害状況やアンケート調査を行いました。その際に「どうやって防災情報を受け取っているのか」「実際の避難経路はどうなっていたのか」など、被災者の方々から声を聞く機会がありました。その際に感じたことは、情報を発信するだけでは効果に結びつかない、ということです。受け取る側が情報をどう捉えるかを意識し、情報の取捨選択をすることが大切だと考えています。現在の仕事でも情報を届ける配信業務がたくさんありますが、お客さまの立場にたった使い方やニーズを理解できるよう、聞く姿勢を大切にしています。
支店では営業活動から現場対応までマルチに対応
入社当時は本社勤務で、インターネット配信事業や携帯向け気象情報サイトの運用、tenki.jpなどの業務に7年間携わっていました。その後関西支社に異動し、ダム管理や自治体業務などの防災事業や放送局関連の仕事を2年ほど担当していました。
2015年から結婚に伴う異動で広島市にある中国支店に在籍しています。支店は支店長、参与、総務関係を担当する方、当番業務を行う方、気象予報士の派遣業務で江波山気象館に勤務する方など含めて8名が勤務しています。それぞれ役割を持って勤務される方ばかりですので、私は皆さんが担当されていない業務を担当する役割です。例えば見積もり作成や顧客提案といった営業活動から支店内のシステム管理、現場対応などを担当しています。
「広島市江波山(えばやま)気象館」での仕事は、日本気象協会の仕事のなかでもユニークなものです。広島市江波山気象館は気象と科学をテーマにした博物館で、広島市に投下された原子爆弾の被害を受けた旧気象台の建物を整備し、現在も一部が保存されています。気象館内には風向風速計・日照計・気圧計・雨量計が設置されており、日々の観測情報から独自の気象予測を毎日発表しています。中国支店では、平成4年に江波山気象館が開館した当初から気象予報士の派遣や観測機器の設置・メンテナンス、天気予報のシステムなどをサポートしています。
お客さまの課題や要望を直接ヒアリングして本社や支社に共有することも、支社の大切な役割
支店は人員配置がコンパクトなので、支店内でチームを組んで業務を担当するといった体制を取ることはできません。本社・支社の方々と協力して担当することが前提となりますので、連携方法や進捗等の情報共有が業務を遂行する上でとても大切になってきます。
最近はオンライン会議も増えているので、本社・支社の方々が直接お客さまと会わずに仕事を進めることもありますが、支店の営業担当としてお客さまが抱える課題や要望を直接ヒアリングして情報共有することも、支店の大切な役割だと感じています。
また支店では一つの仕事を本社・支社と協力して行うことが多いのですが、支店が窓口となってうまく連携ができたときはとても達成感があります。お客さまが求める情報やサービスに対して、今ある技術を活用して提案できることはないか、社内で開催される新サービスの紹介や改善内容などは聞き逃さないよう、社内情報にもアンテナを張っています。
リモートワークやオンライン会議、時差出勤で柔軟な働き方が叶うように
仕事をしているなかでターニングポイントとなったのは「リモートワークとオンライン会議の導入」です。育休から復帰するときは時短勤務だったのですが、出張や打合せの時間によっては参加を断念しないといけないことがありました。時差出勤も本社や支社では導入されていましたが、支店では未導入でした。
コロナ禍により非接触に考慮した勤務体制が確立されていくなかで、当時の支社長に支店にも時差出勤を導入できないか相談したところ、すぐに調整し、時差出勤を取り入れていただくことができました。社会情勢に応じて組織のルールを変えていくのは当然の流れではありますが、職員の声に応えていただける環境が整っていることは、働き続けていく中でとても大切なことだと感じています。
日本気象協会で働く人たちの印象は…変化に柔軟な方が多いと思います。私が入社した頃は女性比率が9:1から8:2に変化する過渡期だったと聞きました。若い女性が増えてきても敬遠することなく、お花見や食事会などたくさんの先輩方が企画をしてくれて、部署間を超えた繋がりを作る機会を与えていただきました。
支社や支店への異動も経験しましたが、それまでご一緒したことがなくても別の機会で接点がある先輩と一緒に仕事が出来るので、分からないことや新しい情報を教えていただきやすい職場環境に繋がっていると思います。どんな部署でも世話を焼いてくれる人がいるので、頼りながら仕事を進めてきました。
部署がない支店だからこそ、あらゆることにチャレンジできる
中国支店には部署がないので、それぞれの担当する仕事以外のことに挑戦できる機会が多いと感じています。私は本社や支社ではシステム運用や企画書の作成などの仕事がメインでしたが、中国支店に所属してからは見積書を書いたり、花粉の観測をしたり、パンフレットを持って飛び込み営業をしてみたりと初めて経験することも多くありました。
支店長は数年で交代しますが、支店の職員の異動はそれほど多くありません。一つ一つは小さな経験ですが、今までの業務の流れやお客様との付き合い方などを継承し、支店を支える存在になれたらいいなと思っています。