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【イラスト解説】COP27開幕の今、知りたい“気候変動”…「緩和策」と「適応策」って何?

こんにちは!日本気象協会 公式note「Harmonability style」編集チームです。
 
気候変動対策を話し合う国連の会議「第27回 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)」が、11月6日からエジプトのシャルムエルシェイクで開幕しました。今回のnoteでは、私たちの生活にも影響を及ぼす気候変動について、気象・環境分野のプロフェッショナルの視点で解説します。
 
※日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」で公開しているコンテンツ「気候変動と熱中症対策」から内容を再編集してお届けします。情報は公開当時のものです。

気候変動とは

「気候」とはその地域において毎年繰り返される気温や降水量などの大気の状態の傾向を指します。
「気候変動」とは、海洋の変動、火山の噴火によるエーロゾル(大気中の微粒子)の増加、太陽活動の変化などの自然要因や、人間活動に伴う二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの増加、森林破壊などの人為的な要因によって、様々な時間スケールで気候が変動することをいいます。
近年は、人為的な要因による世界平均気温の上昇が顕著になり、猛暑や豪雨といった極端な気象現象も増えています。

日本における気候変動の影響

気象庁による、1898年から2021年の日本の年平均気温の経年変化をみると、長期的には100年あたり1.28℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。
また、最高気温が35℃以上の猛暑日や最低気温が25℃以上の熱帯夜の日数は増加し、最低気温が0℃未満の冬日は減少しています。

気候の将来予測

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(AR6)によると、世界の平均気温は、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続け、向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に、産業革命以前と比べ1.5℃および2℃上昇するとされています。
気温の上昇に伴い、大雨や短時間強雨の発生頻度の増加、海面水位の上昇、台風の激化、干ばつ・熱波の増加等が起こり、地球規模で自然生態系や人間社会に、深刻な影響が生じると考えられています。
日本では、熱中症や大雨に伴う土砂災害・水害のリスクの増加、高温による米の品質など農作物への影響、水温上昇によるサンマなど水産物への影響、サンゴやライチョウなどの自然生態系への影響などが懸念されています。


■キーワード解説 ― IPCCとは?

気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)は、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織。2021年には8年ぶりに自然科学的根拠についてまとめた報告書(第6次評価報告書[AR6])が公開される。この報告書は 66 ヵ国 200 名以上の専門家が参加し作成された透明性が高いもので、気候変動の現状を把握するための基礎テキストのようなもの。
日本気象協会は2011年~2014年は第2作業部会(影響・適応・脆弱性の分野)の国内支援事務局を、2017年~現在は第1作業部会(自然科学的根拠の分野)の国内支援事務局を担当。


緩和策と適応策

気候変動の対策には、「緩和策」と「適応策」があります。
温室効果ガスの排出削減や森林など二酸化炭素等の吸収源の増加を図る「緩和策」と、既に生じているあるいは将来予測される気候変動の影響による被害を防止・軽減するために、自然や社会のあり方を調整する「適応策」です。
気候変動の影響を低減するためには、緩和策と適応策を両輪として進める必要があります。

日本気象協会では、気象に関する専門的知識を持つプロフェッショナルたちが、長年気候変動問題に取り組んでいます。これまでの豊富な経験を活かし、気候変動の影響予測・緩和策・適応策に関する調査・研究を幅広く実施しています。また、気候変動が企業の活動にどのようなリスクや機会をもたらすのかのコンサルティングも行っています。気候変動に適応し、環境に配慮した新たなビジネスを展開することは、企業の長期的な成長を支えることにもつながります。

気候変動と熱中症対策

今回ご紹介した気候変動についての情報は、日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクトが作成したものです。涼しくなるとすっかり忘れてしまうのですが、今年の夏は記録的な暑さとなりました。今後、夏の暑さがさらに厳しくなり、最高気温が40℃を超える日も珍しくなくなる可能性があります。緩和策、適応策共に、より積極的な対策を取らなければ、暑さによる健康面のリスクが高まります。夏以外にも熱中症のリスクはありますので、暑さへの適応方法を事前に知り、熱中症の予防・対策を意識していただければと思います。

気候変動に関するさまざまな情報、知見、研究結果をわかりやすく伝えることは、気候変動問題を考える上で非常に重要なことだと私たちは考えています。長年、天気予報を皆さんにお伝えしてきた日本気象協会だからこそ、気候変動の危機感を身近に感じていただけるような情報発信をしていきたいと思っています。
 
気象データを活用して持続可能な社会を目指す、そんな日本気象協会の思いがnote読者の皆さまに少しでもお届けできれば幸いです。

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